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Jewels
PAの女の子が突然用事で行けなくなったからという事で、餞別の意味も込めてNew York City Balletのチケットをくれました。

New YorkにはAmerican Ballet TheatreとNew York City Balletという2つの大きなバレエ団があり、いずれもリンカーンセンターを本拠地にしています。
「ジゼル」や「白鳥の湖」などのクラッシク・バレエをAmerican Ballet Theatreで観た事はあったのですが、主にモダン・バレエを扱うCity balletは行く機会があまりありませんでした。

今回は「Jewels」。
エメラルド(フォーレ)、ルビー(ストラビンスキー)、ダイヤモンド(チャイコフスキー)という趣向を変えた3部作で、クラシックとモダンを取り混ぜた内容となっており、素人の僕でも楽しめました。

それにしても美しく鍛え上げられた男女の踊りを観ていると、純粋に惚れ惚れします。男性が筋骨隆々なのは言わずもがなですが、女性も細くて筋が浮き出てそうなのに大腿四頭筋だけは隆々としています。
ああいう美しい人たちを目の当たりにすると日頃の不摂生を直さなあかんなと思いながらも、ビールとワインを飲みながらブログ更新中です。

来週末は最後にAmerican Ballet Theatreの「白鳥の湖」を観に行く予定です。
そろそろ帰国が間近になってきました。


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e0088460_13175025.jpgNew York State Theaterの内部

e0088460_13181258.jpg同じリンカーンセンター内にあるメトロポリタンオペラハウス。American Ballet Theatreはここを本拠地にしています。外では丁度野外サルサダンス大会が催されていて、皆踊り狂っていました。また同じ敷地内隣にNew York Philの本拠地エブリフィッシャーホールがあります。
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by ctsurgeon | 2007-06-25 13:14
リカバリーショット
78歳男性。
僧帽弁置換術(機械弁)術後の人工弁感染で、再僧帽弁置換術。
僧帽弁置換術の前に僧帽弁形成術もしているので、3度目の開胸、しかも低心機能(EF 25%)のハイリスク症例です。

弁輪部感染膿瘍が特に左上(大動脈弁近傍)のあたりで激しく、掻爬した後あまり良い組織が残りませんでした。前立ちをしていた教授がその部分(Left Trigone area)に3針だけ自分で糸を掛けました。もっと十分深く針を入れないと、組織が避けてそこからLeakするのでは、と少し心配だったのですが、大動脈弁との距離があまりないので、それ以上深く針を入れることが出来ないのだろうと思いました。

通常どおり僧帽弁置換術(生体弁)を終了して、心拍再開。エコーを見て「あー。やっぱり。。」
案の定新しく入れた僧帽弁の脇から血液が漏れています。まさに心配していた場所。さらに悪い事に強度の大動脈弁逆流が。。人工弁を縫い付けた糸がやはり大動脈弁に近すぎて大動脈弁輪が引き攣れて逆流が起こっているようです。

結局心臓を再度止め僧帽弁のLeakの閉鎖と大動脈弁置換術をするはめになりました。もともとハイリスク症例に対する再再手術の上に、さらに合併症に対する手術で手術侵襲は2倍以上になります。人工心肺時間が4時間を超えどうなるか一瞬不安になりましたが、出血を止めるのにかなり苦労した以外術後経過は順調です。

どうしたらこの事態を避けられたか。。
人工弁をしっかり固定しようとして糸を深くかけると大動脈弁が引き攣れて逆流を起こすし、それを恐れて浅く掛けると人工弁の固定が甘くなり、そこから漏れがでるし。。結局両方起こってしまったので、このケースではもっとアグレッシブに心膜パッチなどで弁輪を再建するしか方法がなかったのかもしれません。彼もそこがミスジャッジだったと言っていました。でも高齢低心機能のハイリスク症例では、なるべく短時間に手術を終わらせることも大切だし。。その辺の判断が難しいところです。

手術の結果だけ見て「ああすれば良かった」とは何とでも言えるのですが、実際の現場では教科書レベルをはるかに超えた外科医個人の経験と知識でその場の判断をしていくしかありません。どんな名人でも手術は毎回小さなTrial and Errorの繰り返しで、Errorに対してどれだけ上手なリカバリーショットを打てるのかというのが、外科医の大切な技量だと思います。だから結果がOKでも60点の手術もあれば80点の手術もあります(永遠に100点には届かないと思いますが)。しかし患者さんから見たら手術は「成功 =100点」と「失敗 =0点」の2つしかないわけで、その意識の差が患者さんと医師との間におこる誤解のもとになっている気がします。

患者さんに取っては結果が全てなのだから、悪い結果が出た時に医療従事者を不審に思うのは当然だとは思うのですが、結果だけを見て「医療ミス(医療事故ではない)」とマスコミが囃し立てる近年の日本の状況を見ていると、日本の医療はいったいどこに行ってしまうのかと少し心配になります。

この症例は幸いリカバリーショットが上手く行って結果オーライでしたが、日本の場合これで結果が悪ければ「ハサミで胎盤を剥離した事は教科書には駄目と書いてあるからけしからん」といった素人見解でいきなり逮捕されてしまった産婦人科の先生みたいになってしまうのでしょうか。。

でも、エコーを見て「あちゃー」と思った直後に頭に浮かんだのは、「あの場所の糸自分で掛けなくて良かった。。。」という事でした。自分で掛けた糸だったら今でもへこんでいると思います。案の定教授にも見抜かれてました。
それにしても数ミリの違いで、、やはり恐ろしいことしてるんだなと思いました。
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by ctsurgeon | 2007-06-17 06:35
Lang Lang
e0088460_1445635.jpgNYも残りわずかということで、NY philのコンサートに行ってきました。

先々週もブラームス交響曲3番4番を聴いて来てとても良かったのですが、今回は新進気鋭の中国人ピアニストLang Langと大御所リッカルト・ムーティーによるベートーベンピアノ協奏曲5番「皇帝」という豪華な組み合わせ。

このLang Lang、若干25歳で超絶的な技術で人気ブレイク中のピアニストです。日本にも来ているみたいですね。
気の利いた感想は言えないのですが、凄かったです。豪快なだけでなく、聴かせどころもばっちり。ホリエモンのような顔ですが、表情豊かに弾きこなす様子はまさにエンターティナーでした。

lang lang playing Strauss
Tchaikovsky Piano Concerto No.1
Chopin Nocturne
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by ctsurgeon | 2007-06-10 14:09
ショッキングなニュース
ー 移植臓器を運搬中の小型機、米ミシガン湖に墜落 ー   

 ウィスコンシン州ミルウォーキー(AP) 移植のための臓器を運んでいた小型ジェット航空機が4日夕、米五大湖のひとつミシガン湖に墜落した。ダイバーを含む救助隊が捜索を続けているが、移植チームと乗員の計6人は発見されていない。臓器を待っていた重体患者の関係者には、移植手術の中止が伝えられた。

今朝このニュースが飛びこんできました。
日本ではあまり報道されてないかもしれませんが、僕たちにはかなりショッキングなニュースです。
墜落した飛行機に乗っていた心臓移植チームの一人は去年うちの施設のレジデントのインタビューに来た人でした。

うちの施設では心臓と肺だけで年間150例以上の脳死移植手術をしています。肝臓、腎臓などを入れるともっと多くなります。幸い胸部外科チームのドナー臓器採取は一般外科レジデントとPAが行ってくれるので、僕たちは行かなくて済んでいます。彼らは当番制で行ってくれるのですが、週に2−3回行く時もあり、その半数以上がチャータージェット使用です。僕も機会があればドナーの臓器採取も経験してみようかなと思っていたのですが、飛行機がきらいなので結局行かずじまいでした。

一応飛行機で臓器を運搬する時は、飛行機が無事着陸したという確認の連絡を受けてからレシピエント患者の心臓を摘出することにしています。今回もレシピエントの心臓は摘出されていなかったようで、それが不幸中の幸いです。

それにしても、心配していた事が本当におこってしまいました。
ご冥福をお祈りします。
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by ctsurgeon | 2007-06-06 08:03
帰国間近
土曜日の今日も夕方からLVAD explant / Heart transplant(補助人工心臓除去+心臓移植)でした。

ジュニアフェローのS君と2人でしたのですが、前半の難しい癒着剥離部分だけ自分でして、後は彼にやってもらいました。彼は今日で心臓移植手術は3例目だそうですが、少し出血はしたものの移植手術は無事成功。彼の前立ちをしながら少し昔を思い出してました。

4年前にアメリカで臨床研修を始めた時は、開胸すら一人で出来ませんでした。もちろん内胸動脈も取った事がなく、心臓手術の第一助手もほとんど経験がありませんでした。心臓手術の執刀経験はわずか3例でした。これではいかんと一念発起して渡米したわけですが、幸運と少しの努力のおかげで今の職場で掛け替えのない経験が出来ました。アメリカでの心臓手術執刀症例はすでに800例を超しました。何もできない英語も不自由な日本人の僕に対してアメリカはあくまでも公平に扱ってくれました。本当に懐の広い国です。感謝しても仕切れません。

この夏に帰国予定です。このままアメリカに残った方が個人的には幸せかもしれないし、まだ少し迷いもあります。しかし当初の目標であったプロフェッショナルな外科医として最低限のスキルを身につけるという事はある程度かなえられたような気がします。今後それをどう生かすかが大切だと思っています。

来週末にはデパートメントの送別会が誕生日にスーツをくれたタレントドクターのDr. Oの豪邸で行われます。英語のスピーチを考えるのが少し憂鬱です。
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by ctsurgeon | 2007-06-03 14:40