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Total pericardiectomy
本日の2例目は悪性中皮腫の左胸膜肺全摘術+放射線治療後の収縮性心膜炎患者に対するTotal Pericardiectomy。
昨日の再手術の話ではありませんが、あんなひどい癒着見た事ありません。
心臓が完全に胸壁というか肋間にめり込んでいて、しかも石の様な癒着。層を出す以前の問題でした。結局7時間かかって、左室の裏の方まで完遂できず。胸閉めれず。おまけに出血多量で30分後にope場で再開胸。

久しぶりにはまりました。
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by ctsurgeon | 2006-11-30 13:57
再開胸手術
昨日の手術はCABG術後のpatent LIMAの80才の患者さんに対するReop. AVR+MVR+CABGx2 with free RIMA というものでした。

再手術は症例によって癒着の度合いが違ったりlive graftがあったりして難易度が違うこと、一歩間違えれば大出血など悲惨な状況に陥る可能性があることなど、結構チャレンジングですが、症例によって剥離の仕方というか攻め方に頭を使う事も多く、割と好きです。
あるアテングィングが「レジデントの手術センスは再手術の剥離の仕方を見ているとわかる」と言っていましたが、なるほどと思いました。
あっちをチマチマ、こっちをチマチマと何のストラテジーもなく剥離しているのは、やはりダメみたいです。
うちの施設は再手術が多く、僕もかれこれ100例くらいしましたが、初めての症例で心臓に穴を開けて緊急ポンプオンになった以外、自分のした症例では幸い今まで痛い目に会った事はありません。でもチーフフェローが手術し始める頃は、再手術の剥離で出血させてバタバタと緊急ポンプにのせる光景をたまに見ます。

以下テクニカルな話になるので、関係者以外はあまり興味ないと思います。

基本的に胸骨ワイヤは全て抜去してから開胸します。術前CTなどもないので、ぶっつけ本番みたいですが、軽いOscillating sawを使っているので胸骨の後板をcutした時に抵抗が抜けるのを指先に感じることができます。
剥離の仕方ですが、基本的には電気メスを使っています。
小児心臓外科のアテンディングが、全く出血なしにハサミで美しい剥離をしているのを見て、真似て見たのですが、やはり血だらけになってしまいました。
電気メスを使うと心臓に通電して心室細動になることを心配する人もいますが、気をつければ大丈夫みたいです(心室細動になった症例が1例だけありますが。。)
剥離は心臓の下端から始めます。動いている心臓と動かない横隔膜面の境界は見てわかりやすいので、そこから心臓下面のスペースにはいります。いったんスペースが見つかれば、そこから右房にそって頭側に剥離をすすめますが、癒着の少ない人は指だけでかなり剥離できることもあります。
そのまま大動脈の右側面に剥離をすすめますが、大動脈周囲の癒着が激しく正しい層を見つけるのが難しい症例があります。一番怖いのは大動脈の外膜を剥いてしまうことで(うちの施設ではYellow Tigerと言っています)、突然大動脈が裂けて修羅場になることがあります。
下から行って層を見つけにくいときは、まずInnominate veinを探します。Innominate veinの下面の大動脈との境目は再手術でもvirgin areaとなっており、そこから大動脈の層を見つけて下に進んで行きます。
とにかく大動脈カニュレーションする場所を確保してしまえば、後は何が起こっても安心なので、難しそうな症例はまずそこを最優先します。

心臓移植の剥離は、時間的制約があるのと、recipient heartはどうなってもいい(?)ので、少しやり方が違ってきます。

写真:家の近くにあるシーフードレストラン。ハドソン河に浮かんでいてロケーションんが良いのと、ハッピーアワーは安い(生ガキが1ダース6ドル、ビール1.5ドル)ので、良く行きます。
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by ctsurgeon | 2006-11-29 11:30
Washington DC
ワシントンDCで2泊して日曜日の夜に帰ってきました。
スミソニアン博物館は3回目ですが、何度行っても飽きません。
American history museumが閉まっていたのは残念ですが、その一部が航空宇宙博物館に移されて、"Treasure of American history"として展示されていました。
初代ワシントン大統領の軍服から始まって、エジソンの電球やベルの電話、初めて臨床使用された人工心臓などもあって、興奮ものです。

月曜の朝病院に来ると、週末に僕が入院させた大動脈解離(上行弓部置換)以外に心内膜炎(大動脈基部置換+僧帽弁形成)、CABG3件、移植2件の7件の手術があったらしいです。

e0088460_6241162.jpgおなじみのワシントンモニュメント。
近くで見るとさすがにでかいです。

以下アメリカお宝グッズです。説明省略します。他にも面白いものがたくさん展示してありました。
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by ctsurgeon | 2006-11-28 07:13
休日手術
昨晩搬送されてきた患者さんは、下行大動脈解離(type B)ということだったのですが、到着後にCTをよく見ると上行大動脈に壁内血腫(intramural hematoma)がありました。type A dissectionということになり、今朝から緊急手術です。

Thanksgiving holidayというのに、さらに3件のバイパス手術と準緊急の補助人工心臓(LVAD)手術の合計5件の手術が組まれています。うち4件は日本人attendingのN先生の手術。てっきりholidayと思っていた人工心肺技師さんやPAは、"FuXXing Japanese Surgeon"と、文句たらたらです。

木曜日のThanksgiving dayに当直するかわりに、金曜日から3連休にしてもらう約束だったので、そんな彼らを尻目にとっとと帰宅します。
今からWashington DCに博物館めぐりに行ってきます。
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by ctsurgeon | 2006-11-25 00:16
海外渡航移植
今日はThanksgiving day。
アメリカでは親族が皆集まってTurkeyを食べる日です。
皆休みたがるので、仕方なく日本人の僕が当直する羽目になりました。
幸い今の所落ち着いているので、(といってももうすぐ大動脈解離が搬送されますが。。)久々の更新です。

日本では8年ほど前に脳死臓器移植が再開されましたが、現在ドナー不足から年間数例しか心臓移植が行われていません。
そのために、特に小児を中心に海外で臓器移植を受ける患者さんが少なからずおり、我々の施設でもこれまでに数人の日本人患者の心臓移植手術をしてきました。

日本で移植を受けられない患者さんが募金をつのって海外で移植手術を受けることについては様々な意見があるかとは思いますが、アメリカで移植医療に従事している当事者からみれば、少なくとも我々の周りからはネガティブな意見は聞こえてきません。もっとも外国人患者に対する脳死臓器移植手術は各病院が行う症例数の5%までと決められており、外国人レシピエントの増加に一定の歯止めをかけようとはしているみたいですが、日本で聞かれる「日本人が金でアメリカ人の臓器を横取りしている」という極端な批判は耳にした事がありません。むしろ赤の他人の患者さんに対して募金をする日本人に共感し、苦労してアメリカに渡って来た患者さんに対して、何とかしてあげたいと皆思っているようです。他民族国家という事もあるのでしょうが、アメリカの懐の広さを感じます。

先日病院の国際サービス課というところから、「心臓移植を受けにアメリカに来る日本人患者をもっと開拓するために何かアイデアはないか」と相談を受けました。高額医療である移植医療は病院経営にとっておいしい分野であり、特に日本人は支払いが良いので5%という枠内ではあるけど何とかマスメディアなどを使って市場を開拓できないかということでした。日本では未だに脳死移植、特に海外渡航移植はセンシティブな問題であり、そういうアメリカ的なビジネスライクなアプローチが受け入れられるか疑問に思ったのですが、そのあっけらかんとした発想に日本との大きな違いを感じました。

e0088460_12205493.jpg病院の駐車場から撮りました。毎日この橋を渡って通勤しています。

e0088460_12212314.jpg先週末に行ったメトロポリタン美術館。大学のIDで無料になるので休日は暇つぶしに良く行きます。(入場料は一応20ドルとなっていますが、ドネーションという形を取っているので、1ドルでも入れます)
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by ctsurgeon | 2006-11-24 12:27
Borat
日曜日の今日はあいにくの雨模様。
散髪のあと病院に行って回診。昼から映画に行ってきました。

近くに大きな映画館モールがあって、常時15本くらいの映画を上映しています。
1本7ドルくらい。
車ですぐ行けて、しかも座席が広々しているのでとても快適です。
チケットもインターネットで購入できます。
日本では映画館は人が多いし行くのが面倒くさくてあまり行かなかったのですが、こちらでは天気の悪い週末など暇つぶしに良く行きます。

今日見たのは日本でも上映されているクリントイーストウッドのFlags of our fathers。
見終わった後に隣の劇場でBorat(クリックすると予告編が見れます)という映画が始まったばかりなので、そのままフラッとはいりました。これが凄かった。

このBoratという映画。公開されていきなり全米第一位になったコメディー映画です。
カザフスタンから来たリポーターの主人公が「偉大な国アメリカ」を旅しながらリポートするという内容ですが、とにかく放送コードギリギリのお下劣さでアメリカの政治、風習などを茶化しており、最初から最後まで笑わせてくれます。何でも役者は主人公とパートナーの2人だけでそれ以外は素人らしく、彼らが本当にカザフスタンから来たレポーターと信じて対応している様子が笑えます。
日本の「電波少年」を思い出しました。

日本で公開されるかは分かりませんが、この手の映画が好きな人にはお勧めです。

http://www.borat.tv/#e0088460_1485120.jpg
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by ctsurgeon | 2006-11-13 14:11
Aprotinin
アプロチニン(トラジロール)という蛋白分解阻害剤があります。
心臓外科では特に再手術や大血管手術の際の止血コントロールのために良く使われていた薬剤です。

まれにアナフィラキシーショックを起こす事が有り、今週の症例(胸腹部大動脈瘤手術)でも重篤なショック状態になり、大変な状況になりました。その他にも腎不全や脳梗塞のリスクを高めるとの報告があったのですが、それ以上に優れた出血抑制効果があるという肯定的な論文が大勢を占めていて(僕の経験からも止血効果はかなりあるような印象でした)、うちの施設でも良く使っていました。

ところが今年の1月に臨床医学で最も権威のあるThe New England Jounal of Medicineという雑誌に、アプロチニンによって重篤な合併症が起こる確率が高くなるため使用は控えるべきであるという報告がなされました。

この論文のインパクトはものすごく、論文発表のその週のうちにYahooで「trasylol」「aprotinin」を検索すると、医療訴訟を促す弁護士事務所の広告がずらっと並ぶようになりました。これでは恐ろしくて中々使えません。
うちの施設でもその後使用症例が半分以下になったと思います。
メーカーも必死に反論を試みているようですが、なんせ一番権威のある雑誌ですから状況を変えるのは中々難しいようです。

アプロチニンの効果と危険性に関しては、それまでたくさんの肯定的な論文が出ていたのにもかかわらず、たった一編の否定的な論文が状況を一変してしまった例です。

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by ctsurgeon | 2006-11-12 11:29
セントラルパーク
今週末も紅葉狩りです。
今日は定番のセントラルパーク。少しピークは過ぎましたがやはり奇麗です。
紅葉も今週でほぼ終わりです。
これからはThanks giving holiday, Christmas holidayと本格的なホリデーシーズンに入っていきます。

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リスも冬眠前のエサ集めに忙しそうです。
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じっと動きません。チップを入れてもらった時だけ挨拶の舞のようなものをしてくれます。子供が真似してました。
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by ctsurgeon | 2006-11-12 10:20
Employee of the month
前にも紹介しましたが、病院には色々な人達が働いています。

医師、PA, Nurse practioner, 看護師以外にも呼吸療法士、理学療法士、採血やルート取り専門のiv tech、病棟のベッド回しをしてくれるbed coordinator、掃除をしてくれるhouse keeper、患者や検体を搬送してくれるtransporter、中には不穏状態になっている患者さんのベッドの横に一日中座って見張っているだけの(one-to-one)人もいます。
とても細かく分業化されているのですが、そういった人達の力で医師の雑用は極力少なくなっています。

病院の正面ロビーの後ろの一番人目につく所に、「Employee of the month」といって、コメディカルの人達が毎月表彰されています。皆誇らしげに写真に写っています。また年に何回かはdepartment主催の大掛かりな感謝パーティーが病院のロビーで行なわれます。
表舞台に出ず、「縁の下の力持ち」として頑張ってくれている人達のモチベーションを上げるためにも良いアイデアだと思いました。

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中には写真が恥ずかしい人もいるみたいです。
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by ctsurgeon | 2006-11-08 11:13
紅葉
今日(土曜日)も秋晴れです。
明け方に移植コーディネーターから臓器オファーの連絡があったのですが、状態があまり良くなくキャンセルしました。ということで土曜日はフリー。紅葉狩りに行きました。

上の写真は前にも出しましたが、車で50分くらいのところにある山から撮ったものです。ハドソン川もこの辺りでは随分表情が変わります。一面紅葉の山で本当に奇麗でお気に入りの場所です。野生のシカがたくさん出ます。19世紀半ばにハドソンリバー派といわれる風景画派がアメリカではやり、メトロポリタン美術館にも彼らの作品が多数展示されているのですが、まさにその時代を思わせる様な情景が目の前にあり、タイムスリップしたような気持ちにさせてくれます。

下の2枚は、息子のハロウィーンパーティーが学校で行なわれた時のもの。他人のお子さんですが可愛いので勝手に載せてしまいました。

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by ctsurgeon | 2006-11-05 15:47