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第一助手
今日はNew junior fellowのMさんのお守りの日。
教授のオフポンプバイパス手術(両側内胸動脈)の第一助手にあたってます。

3週間たってそろそろ独り立ちしてほしいので、今日は開胸から内胸動脈採取まで出来る限り一人でしてもらう事にしました。2時間半かかって無事取りました。
「もう一人で助手できる?」と聞くと、「1回やったし大丈夫!」と自信満々です。
準備が出来たところで教授を呼んで彼女に第一助手をさせてみますが、案の定どうアシストしてよいのかわからず、とんちんかんな動きばかり。
教授はアシストが悪くても視野が血だらけで見えなくても、あまり気にせず黙々と手術を進めるタイプの人だけど、時々たまりかねてブツブツ言っています。
でもそんなに機嫌も悪くなさそうのので、そばについている必要もないだろうと手をおろして昼ご飯を食べにいったら、案の定すぐコールされました。

まだ半分しか縫っていないのに、「前の手術の家族に説明しないとあかんから、あとやっといて。」と、さっさと出て行ってしまいました。

仕方なく彼女を前立ちに吻合してみたけど、やりにくいのなんの。
「右手は糸をフォローしてこっちに引っ張る。左手はこのセッシでここを持って。。」といちいち説明しながら何とか終えました。
普段アテンディングの前立ちで手術をしているのは、本当に楽させてもらっていることを実感しました。

それにしても途中で出て行った教授。患者の説明なんか30分くらい遅れてもいいはずなのに。やっぱりしびれを切らしてしまったのかなと思ってしまいました。
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by ctsurgeon | 2006-07-29 12:05
補助人工心臓
うちの病院では補助人工心臓装着手術が年50例くらい行われています。
完全置換型の人工心臓と違い、補助人工心臓は自分の心臓はそのまま残しておいて、それとは別に心臓の働きを助けるポンプをつけてやります。
ポンプ自体は体の中にあるので、携帯型バッテリーをもって患者さんが退院できるようになっています。
ここ10年くらいこの補助人工心臓の開発が大きく進み、今までは心臓移植までの橋渡しに使われていたのが、移植できない人に人工心臓をつけて、そのまま家に帰ってもらうという使い方もされるようになりました。

その中でも非常に小型の定常流ポンプというものを最近使い始めました。
上の写真は管の中にスクリューのようなものがあり、血液を掻きだすタイプ。
真ん中の写真はコマのようなものが回転してその遠心力で血液を送り出すタイプ。
いずれも手にすっぽり入るくらい小さくて、下の写真のように体からはバッテリーケーブルが外に出てるだけで、携帯バッテリーをつけて自由に外出したりできます。

定常流となるので脈圧はほとんど無くなるのですが、それでも患者さんは普通に生活できるから不思議です。普通の血圧計では血圧計れませんけど。
手術もそんなに難しくなく、3時間くらいで終わってしまいます。

僕が医者になった頃は人工心臓なんておどろおどろしいものでしたが、こちらで補助人工心臓をつけた人が歩き回っているのを見ると、改めてテクノロジーの進歩のすごさを感じます。

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by ctsurgeon | 2006-07-27 01:45
心臓移植チーム
うちの病院は全米でも有数の心臓移植センターで、毎年100例以上の心臓移植手術をしています。
下の写真は毎週金曜の朝にある移植カンファレンスの様子。
総勢40名以上! の心移植チームです。
その中には外科医、内科医をはじめ看護師、精神科医、ソーシャルワーカーなど、色んな人がいます。移植医療は手術だけでなく、術後の免疫抑制剤などを含めて長期間の治療になること、患者の宗教的社会的なバックグラウンドも重要なことから、医者だけでこなせる治療でないことが、写真だけからもわかると思います。
移植適応の有無を決めるディスカッションでは医学的なことだけでなく、その人の社会的なバックグラウンドまで話し合われ、結構興味深いです。
それにしても、これだけの専門家を揃えたチームを作るのは、さすがアメリカという気もします。

途上国での臓器売買など暗い面もある移植治療ですが、補助人工心臓で生きながらえた人が元気に帰って行く姿を見ると、当事者としてはやはり良い治療だと思います。

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by ctsurgeon | 2006-07-25 11:57
Google Earth
Babies' Heartsさんのブログにもありましたが、最近Google Earthで遊んでいます。
世界のいろんな所に行けます。本当にすごいです。
ちなみに日本で住んでいたアパートも見つかりました。

e0088460_8251266.jpgここからスタート。
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だんだん近づいてきます。
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ここまで細かく見えます。一番山側の建物です。懐かしいです。












ちなみに現在住んでいるアパートから勤務先の病院も見えます。
手前の一番川沿いのアパートから橋を渡って川向こうの病院(ちょうど真ん中くらい)に通っています。車で10分くらいです。
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by ctsurgeon | 2006-07-23 08:44
お別れ会
同僚のS君のお別れ会が病院近くのバーでありました。
20人以上の人が来て、とても楽しい会だったのですが、残念ながら後半の記憶が完全にとんでいます。テキーラ一気飲み合戦のようなことになって、6-7杯飲んだところまでは覚えているのですが。。夜中に気がついたら医局でぶっ倒れてました。
ものを壊したり、汚したりしたのではないかと心配になって、今日病院にチェックしに来ましたが、幸いそんな粗相はなかったようです。
夜中にちゃんと起きて、ICUも回診して、帰宅したそう。
しかし大いに反省です。
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by ctsurgeon | 2006-07-23 03:53
レバノン人女医
New junior fellowのMさん。前にも書いたようにレバノン出身の女医さんです。
両親、親戚はレバノンにいて単身でアメリカに渡り、一人でここまでやってきた強者ですが、ここ数日のイスラエルによるレバノン攻撃で、家族のことが非常に気がかりみたいです。
話によれば、両親の家の近くが攻撃され、避難しているとの事。毎日インターネットのニュースに食らいついています。
Fellow office で皆で(アメリカ人、インド人、パキスタン人、レバノン人、日本人)でブッシュの悪口言いまくりです。
そんな彼女もデビュー2週間目にして本日大動脈弁置換手術の術者をしたようです。
僕は当直開け(夜中3時まで手術してました)で、今日は早々に帰宅しました。
うまくいったのでしょうか?
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by ctsurgeon | 2006-07-21 13:14
アメリカの医師就職事情
同僚のシニアフェローS君、今週一杯でお別れです。
ケンタッキーの大学病院にスタッフサージャンとして行くことになっています。
同じくドクターの奥さんと離ればなれになってしまうので、なるべく遠くに行きたくなかったらしいですが、心臓外科のスタッフポジションの就職事情は非常に厳しく、都市部のアカデミックポジションは運が良くなければ、なかなか見つけられません。
日本のように医局が面倒を見てくれる訳ではないので、基本的には独力で探す事になります。そのためには人脈を作っておく事がとても大切。

アメリカでは最近心臓外科の人気が落ちています。
前述のように就職難であること、薬剤ステントの出現でバイパス手術が減少していること、ライフスタイルを重視する最近の傾向を反映しているようです。
今年はついに全米で130あるレジデントのポジションが埋まりませんでした。

最近人気のある科を聞いてみたら
1)ER :完全シフト制。週3日1回12時間労働。残業呼び出しなし。給料まあまあ。
2)麻酔科:特にICUなど。上記と同じような理由。
2)Radiology :家で読影ができる。IR (Interventional Radiology)は高給でQOLも良い。
3)泌尿器科、耳鼻科、眼科などの外科マイナー科
逆に人気のないのは
心臓外科、産婦人科、小児科など。

この辺は日本と同じ傾向でしょうか。
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by ctsurgeon | 2006-07-19 03:57
Super surgeon
アメリカでは心臓外科医はメジャーリーガーと同じ。
腕が良くても悪くても、所詮病院職員で年功序列給与システムにあるサラリーマン日本人外科医と違い、アメリカでは外科医は病院から給料をもらうのではなく、保険会社からsurgeon feeとして独立してお金をもらうシステムなので、いわゆる腕が良く患者を集められる外科医は、それこそ貴族の様な生活をしています。

ちなみにうちの教授はprivate islandを持っていて、自家用飛行機でその島に行き休暇を過ごしているらしいです。

40代半ばのDr.O。うちの看板外科医。スーパーサージャンです。
ハーバードでMBAを取得、医学者としての業績も手術の腕も凄いですが、それ以外の才能も凄い。amazon.comでNo.1 sellerとなった本を執筆したり、アメリカの有名チャンネルに番組を持っていたり、前大統領や有名俳優など知り合いも多い。2年前にPeopleという人気雑誌で毎年行なわれている「Sexiest men 50」に選ばれ、トムクルーズらと共に写真入りで紹介された時には、そのコピーが手術室内に張り出されました。
そんな有名人ですから、毎日のスケジュールも殺人的です。本当に分単位。
テレビの撮影やら、雑誌のインタビューやら、その合間を縫って診察。そして年間400例の手術。夜はパーティーやディナー。
性格は非常にフランクで人間的にも素晴らしい人です。あまりにも時間に追われて手術室で時に短気になるのが少し欠点ですが。
それでも手術はどんな難しい症例でも100%フェローに執刀させます。

同じ心臓外科医でも、日本では激務の割に給料少なく、若手は手術のチャンスも少なく雑用多く、愚痴ばかりでくたびれて見える人が多いのに比べて、アメリカの外科医は自信に溢れ、いかにもエリートといった風格が漂う人が多い様な気がします。
この差は一体何なんだろうと思ってしまいます。
やっぱり医療費の違いなんでしょうか。
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by ctsurgeon | 2006-07-16 13:48
インターン。その後のその後
現在我々の科をローテーションしているインターン。
以前も書きましたが、かなり問題になっています。
医学部卒業してすぐに心臓外科の病棟当直は、まあ大変ですが、もう学生ではないので甘やかす事もできません。このあたりは日本でも良くある話でしょう。

チーフフェローのA君は、多方面からインターンに対する不満を受けて、大変です。そういう問題をうまく解決するのもチーフフェローの仕事。
彼からメールが教授以下スタッフに回ってきました。彼の苦労がしのばれます。
一部抜粋します。

I have heard numerous complaints both from nurses, as well as from the other residents on our service, as well as from patients about the conduct - both personal and professional, about the two interns currently on our service. I have personally invested a significant amount of time and energy on both of them in an effort to understand what problems may be hindering them, and what we as a group can do to assist them. Although I was willing to ascribe inconsistencies and difficulty in taking direction earlier in the year to this being their first clinical rotation, I am getting increasingly frustrated and disappointed by their attitudes and their lackadaisical approach to their work. This has to stop now, and whatever you are capable of doing to get them to understand what the work ethic of a general surgical resident should be, would be greatly appreciated.

It is my expectation that the interns will assume fully the responsibility of taking care of cardiac surgical patients as though they were doctors taking care of their own patients, not as a "shift-worker." I am disturbed to hear several complaints (particularly this early in the academic year), not only by the nurses as well as by the fellow who was on last night that XXXX has failed to answer pages and has failed to attend to patients in need (one in particular who required transfer to the CCU). I was personally disappointed in his extraordinarily abrasive attitude when I brought to his attention several missing details in a heart transplant that he pre-op'd for the OR this morning. This relationship is clearly a 2 way street, and while I will go out of my way to protect general surgery residents coming through our service, I expect that they will act as responsible adults and doctors when asked to execute their duties. I think, as we discussed, that a healthy relationship between our services is critical not only for the residents from an educational standpoint, but for the specialty of cardiac surgery in general.
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by ctsurgeon | 2006-07-15 13:43
off pump CABG
今週は忙しくて疲れてしまいました。
毎日2例の手術。それもBeating heart CABG + mitral repair + Dor手術(医龍の最終回でしていた手術とほとんど一緒)や、David手術(大動脈弁温存基部置換手術)、コテコテの再手術など、ヘビーな症例ばかり。
どれも執刀できるから文句は言えないのだけど。

今日はバイパス手術が2例。
オフポンプバイパス手術で心臓の裏の血管(回旋枝)を縫い始めたとき。
それまで安定していた血圧が下がり始め、心臓も張ってきて、明らかに怪しい状態。
麻酔科の先生が「心臓のポジションを戻して休ませてあげたら」と言うものの、前立ちのアテンディングは「5分で終わるから辛抱して」と。
そういう時に限って視野は悪いし、だんだん心臓が弱ってくるのがわかるので、非常に焦った。そうすると、拡大鏡を通して見る視野がどんどん狭くなって行く。これには困った。
こういう時こそ、深呼吸して慎重に。。と自分に言い聞かせるのだけど、助手をしているアテンディングは焦って興奮してるし、平常心を保つのはなかなか大変でした。
案の定、吻合が終わった直後に心室細動(いわゆる心停止)、すぐ電気ショックでもどりました。間に合って良かった。。
焦って縫った割には吻合は上出来だったのが救い。
でもまだまだ修行が足らないことを実感しました。
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by ctsurgeon | 2006-07-15 13:06