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インターン。その後
前のブログに書いたインターンのことがフェローの間で話題になり、"He is decompensating."と言われていました。
簡単に言うと「壊れかけている」らしいです。

彼は前日僕と一緒に当直したのですが、確かにかなり荒れた夜でした。
病棟の患者がアレスト(心肺停止)になり、一旦蘇生したもののICUに搬送したとたん再びアレスト。電気ショッック、開胸マッサージの甲斐もなく亡くなってしまいました。全てが終わった後、青ざめた顔で呆然としている彼を見ていて「少しやばいかな」と思っていたのですが、案の定次の日ほとんどfunctionしてなかったらしいです。(僕もfunctionしていませんでしたが、それは単に体力的に復活できないだけで、彼の場合は精神的にも随分応えたらしい)。
病棟で突然泣き出したりしたそう。

医学部卒業して、いきなり心臓外科の病棟当直はやはりきついんだと思います。
(インターンは一人で50人近くの病棟患者のFirst callをカバーしています)
復活してくれればいいのですが。
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by ctsurgeon | 2006-06-25 13:43
インターン
今週から新しいインターンが来ました。

心臓外科のフェローに進む為には5年の一般外科レジデントを終了しないといけないのですが、その1年目の事を慣習的にインターンと言っています。
夜間当直は病棟はインターンとフェローの2人で管理しているのですが、基本的にファーストコールはインターンが対処し、彼が対応できない時にフェローに相談することになっています。
今週のインターンはまさに卒業したてのホヤホヤです。
昨日は1晩で80回近くのコールがなったとのこと。ほとんど10分に1回です。
さすがに朝の回診では憔悴しきっていました。

当直の時に出来の良いインターンに当たるのとそうでないのとでは、こちらの負担も大きく違ってくるので、新人が来るこの時期に当直をするのは非常に憂鬱なのですが、幸い頑張ってくれているので、助かります。
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by ctsurgeon | 2006-06-23 13:50
Evaluation
Babies' heartsにもありましたが、心臓外科のレジデントは半年に1度evaluationを受ける機会があります。

各スタッフサージャンがレジデントの事を手術の技術、知識、病棟管理、態度など非常に細かく評価して、その成績表を元に教授と面談するというもの。逆にレジデント側からもスタッフサージャンについて、スタッフとしての知識は十分か、手術指導はどうか、など評価してフィードバックがかかるようになっています。評価があまりにも悪いと容赦なくクビになることもあり、僕も最初のevaluationでは非常に緊張したのを覚えています。
仕事にやっと慣れた頃とはいえ、右も左もわからない自分がどう評価されているのか、特に手術室でのパフォーマンスに全く自信がなかったからです。

 初めて教授にバイパス手術の中枢吻合をさせてもらった時、一睡もできなかった当直開けの2例目の手術でコンタクトレンズの調子も慣れない手術用ルーペの調子も悪く、まともに見えないまま縫ったら案の定クチャクチャの出来上がりになった。
 初めて教授にバイパス手術の末梢吻合させてもらった時、カストロ持針器のラチェットが外せずに固まってしまい、3針目で交代させられてしまった。
 初めて教授にAVR(大動脈弁置換術)をさせてもらった時、左冠動脈口に解離を作ってしまい、結局冠動脈バイパス手術を追加するはめになった。

それでも最初のEvaluationでは教授から「技術的には着実に上達。英語はまだまだだけど、まあ大丈夫だろう。それよりも一生懸命真面目にやっているのでOK」と言われとても安堵しました。「ああ、一生懸命やってたら何とかなるんや」。それから急に仕事がしやすくなった気がします。
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by ctsurgeon | 2006-06-18 14:02
吉田兄弟
近所の本屋さんで津軽三味線の「吉田兄弟」がミニコンサート+サイン会をしていたので、行ってきました。何でこんなアメリカの田舎町の本屋のイベントに出てるの?と不可解でしたが、初めて聞く津軽三味線、迫力があって、とても良かったです。
高校時代はエレキギターを弾いていたのですが、ギターに比べて三味線は弦が3本しかないし、音も響かないし、シンプルすぎてあまり何とも思っていませんでした。でも実際に聞くと、叩き付けるようなバチさばきに弦楽器というよりは打楽器のような迫力があって、とても良かったです。周りのアメリカ人も大喜び。最後は「津軽ジョンガラ節」。最高でした。

伝統に縛られた世界で彼らのように新しい事にどんどんチャレンジしていく人はすごいと思います。しかし、なんでこんな町で彼らがサイン会? 今でも不思議です。
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by ctsurgeon | 2006-06-18 06:23
夢を見ました。
先日した再手術の僧帽弁置換+左室瘤手術(Dor)手術の患者さん。手術は非常にうまくいって、翌日には一般病棟に移動。

その患者さんの事でアテンディングから電話があり、「心臓を閉じる時に、スワンガンズ(一時的に心臓に留置した圧カテーテル)を心臓に縫い込んだやろ。抜けへんけど、どないしてくれるんや。(英語で)」と、すごい剣幕。そこではっと目を覚ましました。
スワンガンズカテーテルを縫いこんだ前科があるので、結構リアルな夢でした。

術後出血が心配な患者がいたりすると、その晩出血再開胸になる夢をたまに見る事があります。そのため気になる時は寝る前に家からICUに電話して確認したりしてます。
日本にいた時は、自分の手術があった日は寝ずに患者に張り付いていたので、そんな夢を見る機会もありませんでしたが。。
アメリカ人はおそらくそんな夢なんか見ないのでしょうね。
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by ctsurgeon | 2006-06-16 06:06
MLB観戦
スタッフサージャンの一人から野球のチケットをもらいました。
心臓移植手術が当たっていたのですが、同僚に頼んで仕事帰りに見てきました。
席はなんと一番前というか、フィールド内に作られた特別シート。駐車場もVIPと選手専用の駐車場。監督の親族の心臓手術をうちの病院でした縁で、年間シートをもらっているみたいです。
何とも贅沢な野球観戦でした。
ちなみにバッターは誰かわかりますか?
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by ctsurgeon | 2006-06-15 13:17
New chief resident
今週から新しいチーフレジデントになりました。
彼はパキスタン生まれ。ハーバード出身でNatureなどの論文もあり輝かしい業績を持つ。手術も上手く、満を持してのデビュー、となるはずでした。
しかし彼のチーフとしてのスタートは、実に激しいものでした。
土曜日。心臓移植。術前からの抗凝固薬のため術後大量に出血。その夜再開胸。前任チーフレジデントのパーティーには行けず。
日曜日。朝から別の心臓移植。植えた心臓が全く動かず、両心補助人工心臓装着となる。案の定、出血止まらず夜中にICUで3回開胸。
月曜日。一睡もしないまま朝から再手術の2弁置換+大動脈瘤手術。再開胸時にノコギリで大動脈に切り込み大出血。修羅場となる。10時間の手術。終わると同時に隣の手術室に移動しOff-pump CABG(心臓動かしたままのバイパス手術)。彼が手術を終えてなかったので僕が手術を開始してバイパス用の内胸動脈を取る。隣の手術を終えた彼に「しんどかったら僕が手術しようか?」と一応聞いてみるが、「いや、自分がする」と。。タフガイである。
彼にさっさとバトンタッチし、こっちは帰宅してビール飲んでます。もうそろそろ終わった頃か。今晩はさらに土曜日の移植患者の閉胸手術が待っている。
これから半年。頑張って下さい。
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by ctsurgeon | 2006-06-13 11:16
パーティー
チーフレジデントの卒業パーティーが教授の自宅でありました。半年ごとにチーフレジデントが卒業していくので、その度に各スタッフサージャンの家でパーティーをすることになっています。摩天楼を見渡すペントハウスのテラスでドクター、コメディカルの人たちなど50人以上が集まり、シェフやバーテンも呼んで何ともリッチなパーティーでした。居酒屋の宴会場で研修医が下ネタ芸を披露し、そのあとカラオケになだれ込む日本の医局忘年会とは随分違う光景です。
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by ctsurgeon | 2006-06-11 19:59
My shoes
最近手術用の靴を買い替えました。(といっても病棟でも同じ靴を履いていますが)。
こちらのメディカルスタッフに人気のDanskoという会社のClog(もともとは北欧の木靴の事らしいです)ですが、これが本当に良い。
毎日手術に入って、いつも腰痛、足の疲れに悩まされていたのに、新しい靴にしてから疲れが激減しました。夜中に突然足がつることもなくなりました。
日本では手術室は専用のスリッパに履き替えないといけないのですが、これが便所スリッパに毛の生えた様なシロモノで、おまけに28cmの僕の足には小さすぎて、とても長時間立ちっぱなしの外科医の事を考えてくれているとは思えない。アメリカでは手術用の滅菌スリッパとMy shoesで術後感染率を比較したら有意差が無い事がわかって、無駄な滅菌スリッパを使う事をやめたらしい。手術前の手洗いの水にしてもそう。こちらは滅菌水ではない。普通の水。
アメリカがいい加減なのか、日本が無駄が多いのか。
少なくとも自分にはアメリカ式が合っている様な気がする。e0088460_10441116.jpg
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by ctsurgeon | 2006-06-10 10:46
6th reop.
週末当直。BIVAD(両心補助人工心臓)を装着患者の心臓移植手術を明け方までして、今帰ってきました。その患者さん、これまでの開胸歴が何と6回。1)僧帽弁形成術2)僧帽弁置換術3)冠動脈バイパス術4)左室補助人工心臓装着術5)右室補助人工心臓装着術6)右室補助人工心臓交換術。7回目の開胸。再開胸手術はかなり経験したけど、今回のは最強の部類でした。当然のごとく癒着でどこに心臓があるかもわからないような状況。人工心臓の送脱血管をたどって剥離していくも埒があかず、結局心臓開けて中から解剖を同定するような状況でした。剥離に時間をかけると心臓の保存時間が長くなってしまうのでチマチマ剥離するわけにもいかず、途中から心臓をむしり取るような手術になってしまいました。心臓はどうせ取ってしまうので別に問題はないんだけど、ああいう下品な剥離はあまり好きではない。(あとの止血が大変でした。)
あと手術のコンサルトが5件。。。肺移植も入って人手が足らないので手伝ってと言われましたが、逃げるように帰ってきました。
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by ctsurgeon | 2006-06-05 01:21