2006年 11月 29日 ( 1 )
再開胸手術
昨日の手術はCABG術後のpatent LIMAの80才の患者さんに対するReop. AVR+MVR+CABGx2 with free RIMA というものでした。

再手術は症例によって癒着の度合いが違ったりlive graftがあったりして難易度が違うこと、一歩間違えれば大出血など悲惨な状況に陥る可能性があることなど、結構チャレンジングですが、症例によって剥離の仕方というか攻め方に頭を使う事も多く、割と好きです。
あるアテングィングが「レジデントの手術センスは再手術の剥離の仕方を見ているとわかる」と言っていましたが、なるほどと思いました。
あっちをチマチマ、こっちをチマチマと何のストラテジーもなく剥離しているのは、やはりダメみたいです。
うちの施設は再手術が多く、僕もかれこれ100例くらいしましたが、初めての症例で心臓に穴を開けて緊急ポンプオンになった以外、自分のした症例では幸い今まで痛い目に会った事はありません。でもチーフフェローが手術し始める頃は、再手術の剥離で出血させてバタバタと緊急ポンプにのせる光景をたまに見ます。

以下テクニカルな話になるので、関係者以外はあまり興味ないと思います。

基本的に胸骨ワイヤは全て抜去してから開胸します。術前CTなどもないので、ぶっつけ本番みたいですが、軽いOscillating sawを使っているので胸骨の後板をcutした時に抵抗が抜けるのを指先に感じることができます。
剥離の仕方ですが、基本的には電気メスを使っています。
小児心臓外科のアテンディングが、全く出血なしにハサミで美しい剥離をしているのを見て、真似て見たのですが、やはり血だらけになってしまいました。
電気メスを使うと心臓に通電して心室細動になることを心配する人もいますが、気をつければ大丈夫みたいです(心室細動になった症例が1例だけありますが。。)
剥離は心臓の下端から始めます。動いている心臓と動かない横隔膜面の境界は見てわかりやすいので、そこから心臓下面のスペースにはいります。いったんスペースが見つかれば、そこから右房にそって頭側に剥離をすすめますが、癒着の少ない人は指だけでかなり剥離できることもあります。
そのまま大動脈の右側面に剥離をすすめますが、大動脈周囲の癒着が激しく正しい層を見つけるのが難しい症例があります。一番怖いのは大動脈の外膜を剥いてしまうことで(うちの施設ではYellow Tigerと言っています)、突然大動脈が裂けて修羅場になることがあります。
下から行って層を見つけにくいときは、まずInnominate veinを探します。Innominate veinの下面の大動脈との境目は再手術でもvirgin areaとなっており、そこから大動脈の層を見つけて下に進んで行きます。
とにかく大動脈カニュレーションする場所を確保してしまえば、後は何が起こっても安心なので、難しそうな症例はまずそこを最優先します。

心臓移植の剥離は、時間的制約があるのと、recipient heartはどうなってもいい(?)ので、少しやり方が違ってきます。

写真:家の近くにあるシーフードレストラン。ハドソン河に浮かんでいてロケーションんが良いのと、ハッピーアワーは安い(生ガキが1ダース6ドル、ビール1.5ドル)ので、良く行きます。
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by ctsurgeon | 2006-11-29 11:30