26才の再再弁置換手術
今日の症例は26才女性の再々手術(大動脈弁置換術)。

これだけでIv drug user (静注麻薬使用者)というのが頭に浮かんだら、かなりのアメリカ通です。しかし病歴を詳しく聞いたら、ツイてないというか大変な経過です。

Iv drug useによる感染性心内膜炎(注射器から血液内に入ったばい菌が心臓の弁について、弁が破壊される状態)のために、 他院で6年前に僧帽弁置換術(MVR)を受けたのですが、何とその時に人工弁を固定する糸で大動脈弁を傷付けてしまい、術後に強度の大動脈弁逆流が残ってしまいました。

何故かそのまま放置されていたのですが、妊娠を機に心不全が増悪し、出産後最初の手術から3年後に再度大動脈弁置換術(AVR)+僧帽弁置換術(MVR)を受けました。
大動脈弁逆流を放置していたため、すでに重症心不全となっており、後日AICD(体内埋め込み除細動器:ペースメーカーのようなもの)を植えられました。

しかし、運の悪い事に今度はそこからばい菌が入って(麻薬はやめたそうです)、再び感染性心内膜炎をおこしたため、その病院を受診したらしいのですが、「手術不可能」と言われてうちの病院に来たそうです。

心臓は著名に拡大(7cm)しており、心機能(駆出率)は10%(通常は60%くらい)、肺動脈収縮圧は70 mmHg。要するにほとんど心臓が動いてません。ハイリスクで「手術不可能」と言われたのもわかるような気がします。

幸い感染は大動脈弁に留まっているようなので、さっさと大動脈弁置換術だけして切り抜けようとしましたが、思ったより大変でした。3度目の手術で癒着が強度なのと、大動脈基部(root)が小さくてしかも組織がモロモロ。何とか大動脈弁置換術と大動脈基部の再建をして手術終了。補助人工心臓まで頭に入れていたのですが、予想に反して人工心肺からの離脱も少量のカテコラミン1種類だけで問題ありませんでした。麻酔科の先生が頑張ってくれて術直後の経過も良く、とりあえず一安心、思わず前立ちのアテンディングと握手です。

これで心機能が少しでも戻ってくれれば良いのですが、生体弁なのでどちらにしても10年後くらいには4回目の手術を受ける必要があります。その時は機械弁による再2弁置換術になるのか、それとも心臓移植になるのか。。。

写真は映画にも良く出て来るセントラルパークのスケートリンクです。
雰囲気の良い所で、冬のデートにおすすめです。

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by ctsurgeon | 2007-02-07 09:08
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