大動脈弁形成術
昨日の手術終了が11時。夜中に別件で呼ばれてそのまま病院でお泊まり。
さすがに今日は疲れていたので、手術免除してもらおうと思ったのですが、手術室に行って予定表を見ると、すでに2件当たっていました。

1例目はDavid手術(大動脈弁温存基部置換術)。A君が大動脈手術の経験が少ない僕に気を利かせてくれたらしい。
でもいざ弁を見てみると、先天性2尖弁で部分的にかなり石灰化もあったので、「これは弁置換(ベントール手術)やな」と前立ちをしているアテンディングのS先生に言うと、「いや、直せるか試してみよう」と。2人でああやこうやと言いながら、切ったり縫ったりして最終的には全く逆流がなくなりました。

大動脈弁の修復術は弁の修復術の中でも成績が良くなく、特に石灰化のある弁では普通は人工弁に替えると思うのですが、そのS先生のチャレンジ精神というか勇気に感心してしまいました。自分の患者だったら、まっすぐに人工弁に替えていると思います。

このS先生。アテングィングに昇格してまだ1年くらいなのですが、1年目ですでに300例以上の症例をこなし、中でも大動脈手術に関してはそれまで50例もなかったのを1年で200例くらいまでに増やした実績があります。David手術にしても、レジデントの時に数例経験しただけなのに、どんどん数を増やしてすでに50例以上こなし、現在売り出し中の若手外科医としてうちの看板の1つになっています。
手術の上手さはもちろんのこと、術中の決断力、術中アクシデントの時の強靭な精神力など、まさに心臓外科医になるために生まれてきたかのようです。
手術でも、今回に限らずどんどん新しい事にチャレンジしています。

日本ではロス手術に失敗した心臓外科医が「無謀な手術」と非難されていましたが、新しい事にチャレンジすることは、患者さんの安全にかかわるだけに非常に勇気のいることだと思います。彼のアグレッシブさは時に危なっかしく見える事もありますが、「慎重すぎる」と言われている僕からすれば、少しは見習わなければと思います。

結局2例目は患者さんがご飯を食べてしまったとの事で、キャンセル。低心機能の人工弁心内膜炎、大動脈弁輪膿瘍が僧帽弁輪まで波及していて、おまけに上行大動脈瘤も合併というエグい症例なので、少しホッとしました。
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by ctsurgeon | 2006-09-20 09:55
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