狭心症などの冠動脈疾患の治療は薬剤溶出性ステントの出現で、ますます心臓外科医の出番が少なくなってきています。
弁膜症疾患も今までは心臓手術によって悪くなった弁を取り替えていたのですが、最近Percutaneous aortic valve replacement (経皮的大動脈弁置換術)というのが始められ、うちの病院でもそのトライアルが行われています。人工弁(生体弁)をたたんで、カテーテルの先に仕込み、足の動脈から大動脈に入れて心臓まで持って行き、膨らませて留置するというもの。 普段石化化してカチカチになった患者さんの弁を見ている者からみたら、そこに無理矢理カテーテルで弁をねじ込むなんて、そんな恐ろしいことと思ってしまうのですが、内科の先生は勇気があるというか、すごい事にチャレンジします。 最初の数例は散々で、留置したはずの弁が外れてしまったり、カテーテル(人工弁仕込むくらいだから太いです)が抜けなくなって、足の動脈も引き抜いてしまったり、、、それでもめげずに続けて、最近は安定した成績を出しているみたいです。 大動脈弁だけでなく、僧帽弁のカテーテル治療も始まっています。 心臓外科医の出番が今後ますます少なくなっていきそうです。 そういえば先日暇だったので、カテーテール室にその治療を見学に行ったら、PCI(冠動脈疾患に対するカテーテル治療)の指導に来られている日本人の心臓内科Drに会いました。完全につまってしまった冠動脈(CTO)病変に対して冠動脈ステントを入れる技術の指導に来ているとのこと。その時も途中で他のカテ室からワイヤーが通せないとhelpの要請があったのですが、ものの5分で成功、周りからは救世主のように見られていました。 色んなワイヤーを駆使して細い冠動脈にステントを入れるのは、細々としたことが得意な日本人の性分にあっているのでしょうが、実際アメリカの一流施設で日本人がvisiting professorとして彼らを指導している姿を見て、日本の心臓内科(外科ではありません)のレベルの高さを改めて思い知りました。
by ctsurgeon
| 2006-08-04 06:18
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