DNR
日本で少し前に末期患者の人工呼吸器を家族の同意の元に止めた医師の行為が問題になったことがありました。家族の同意が口頭だけで書面にしていなかったのが問題だったみたいです。

アメリカでは大きな手術や病気の治療の前に、どこまで治療をしてほしいのか、また自分が意思表示できない時に、誰が法的に代弁者になるのか(Health care proxy)というような事をあらかじめ文書にしておくのが一般的です。
よく目にするのがDNR (Do Not Resuscitate: 緊急時の蘇生処置をしないこと)formです。
無駄な延命処置を避ける意味でも、日本で起きたような問題を避ける意味でも重要な書類ですが、???と思う時もあります。

以前心臓手術を受けてまだ5日目くらいの患者がICUで突然心室細動(心停止)になりました。ふつうなら電気ショックですぐ戻るはずですが、それをしようとしたら、突然ICUのスタッフに「この患者はDNRにサインしているから電気ショックも心臓マッサージもダメ」といわれました。といっても手術後まだ5日目、「周術期に不整脈が起こる事は良くあるのに、その治療がダメなら何でこの患者は手術を受けたんや」と先輩外科医がICUスタッフに食い下がったのですが、「ダメなものはダメ」。結局何もできないまま、目の前で患者が死んで行くのを見るしか無いという、なんとも理不尽でやるせない経験をしました。

医師の裁量に偏りすぎると日本のような問題が起こるし、患者との契約事項にこだわれば後者のような事も起こりうる。難しいです。
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by ctsurgeon | 2006-07-01 04:20
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